| 龍とボクと。 第三章 1 |
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| 1 「たしか、この辺りのはずだ。」 レイストさんの言葉に辺りを見回す。 ぼくたちは紫焔共和国の首都、紫焔に到着すると、これまでの経緯を話した。国長さんと一部の受入れ反対派は謝罪は魔物を倒して示せ。と言ってきた。どうやら特産物だけでなく、儀式をするための祭壇も魔物に占拠されたらしい。 「レイストさん、その祭壇ってどんな物なんですか?」 「ふむ。「祭壇」は赤の祭壇と青の祭壇に分かれていてな、両方の祭壇で同時に祝詞を読まなければ儀式は行えないらしい。」 なるほど。そうだったのか。神殿の祭壇から名前を取って「紫焔」って聞いていたけど。赤と青で紫だったとは思わなかった。 と、思っていると、リアが声を上げた。 「フラント様ぁ、あれじゃないでしょうかぁ?」 指差す方向を見ると、崖の岸壁から石で出来た建造物のような物が赤い森の葉から頭を出していた。その葉の色とは逆に真っ青な石だった。 「そのようだな。」 レイストさんが頷く。ぼくたち一行はその蒼い建造物「青の祭壇」に向かった。 だんだんと近づくにつれてその大きさが判りだす。かなりの大きさだ。2階建てほどの高さに入り口がある。階段は緩やかに出来ているため、かなり長い。入り口に着くと罠が無いか、何か魔物は潜んでいないかを確かめ、中に入ろうとする。と、ヒューリィがぎゅっと服のすそを掴んできた。そして首を左右に振る。 「・・・・・・ここ・・・・・・危ない。」 そう言って一歩も歩こうとしない。まったく・・・どうしたもんかな・・・。 「フラント、ヒューリィは私が引き受けよう。魔物はお前が一人で倒せ。」 「はい。お願いします。」 そう言うとぼくとリアは祭壇の中に入っていった。 「きゃー!フラント様と二人きりですわぁ~。」 ――連れてくるんじゃなかった。あぁ、なんでレイストさんに任せてしまったんだろう・・・。リアに任せればよかった。 「・・・・・・フラント様・・・。止まって!」 急に真面目な声リアがぼくを静止した。 「一体何――!」 気配がした。十時通路の右側からだ。ぼくはイスデスが引き抜けないか確認する。やっぱりダメ・・・か。その代わりにナイフを引き抜く。中腰で構え、ゆっくりと近づく。 曲がり角に到着した次の瞬間、ぼくは飛ばされていた。正確には投げられていたようだ。 視界が反転して仰向けだということに気づく。体をうつぶせにすると、視界に飛び込んできたのはリアに襲い掛かる人影だった。 人影はリアに斬撃を繰り出す。 「――危ない!!」 思わず叫んだ。が。 リアはその斬撃をかがんで避けた。その勢いに任せて水平回し蹴りをお見舞いする。 しかし、相手は斬りで崩れていた姿勢からさらに一歩踏み出して剣を持ったまま前転した。 そして受身を取り、向き直る。 リアとの距離は数メートル。間合い的に相手は2歩ほど踏み出せば斬ることが出来る。 が。 「あなた方は・・・・・・魔物ではない・・・?」 人影が声を上げた。その声にリアが構えを崩す。 それを見て、人影も剣を鞘に収めた。 「はい。私たちはここに住まう魔物を退治に参りましたぁ。」 リアが答えると、人影が歩み寄る。 暗くてよく見えなかったが、どうやら女性のようだ。背はぼくと同じ位で、赤髪で頭の後ろで髪を結び、重そうな鎧を着ている。腰にはベルトの変わりに帯をしており、腰の左に細身の剣を挿している。さらに左手には指が動きにくそうなガントレットをしていた。 「失礼をした。私はフェイシア=ライザ。どうやら目的は同じようね。」 ライザ・・・って、もしかして・・・。 ぼくが反応を示そうとした瞬間、リアが自己紹介を勝手に、早急に始めた。 「私はリア。リア・ステンバーグです。どうぞ宜しくお願いしますぅ。そしてあちらはフラント様です。私が御仕えしている「勇者」様ですぅ。」 ・・・説明が間違ってる気がする。勘違いされたらどうするんだ。 ぼくは立ち上がって訂正する。 「ぼくはフラント・ビシャス「ただの冒険者」です。決して「勇者」ではないので、よろしく。」 強調して言って反応を待つ。と、フェイシアの様子がおかしい。 「あ、えぇと。あの・・・勇者なのですか?それとも違うのですか?」 なんだかおろおろとしていて視線が合わない。・・・なんなんだ?ぼくどこかおかしいか? 「ぼくは勇者じゃないです。」 ぼくの答えに反応を示さない。 「どうかしました?」 「いえ。・・・・・・あの、ただ、あまり殿方と会話しないので・・・。」 フェイシアが顔を赤くしながら言って、顔を伏せる。 なるほどね。・・・・・・ちょっと可愛いかも。 ――はっ! 視線を感じてぼくはリアの方を見る。 ごくりと息を呑む。 そこには、笑顔のリアが立っていた。笑顔だったが、ぼくはその姿に鬼を見た。 笑顔なのに、笑ってない・・・。 「そろそろ参りましょうか、フラント様。」 そう言って歩み寄るリア。逃げ出そうと一歩踏み出した瞬間、掴まってしまう。 こ、殺される――。 「さぁ、フェイシアさんも一緒に参りましょう。」 「えぇ。」 半ば引きずられるようにして先に進んだ。 逃げ出したい。
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12月21日(水)23:27 | コメント(0) | 小説 | 管理
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