緑風
 
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龍とボクと。 第二章 追記 7、8

第二章 追記 破壊の。勇者。
 7
「バジリスクが殺られた。か。」
短く切りそろえられた黒髪が揺れる。
青年は剣にはめ込まれた五つの石―――各石は一つずつ色が違った。―――の赤い石が黒くくすんだ色になったのを見て、独り言のように呟く。
彼は剣をベッドに立てかけ、宿の窓から外を見る。
赤い幹をした木々たちが黄色い葉を広げている森を見つめる。
そこにはポッカリと穴が開いたように木々が折れてしまっている広場があった。
 バジリスクの死体が石化している。
「まさか、対魔の石を持つ者が居るとはな。」
そう言って苦笑する。
その薄い青色をした瞳が殺気を宿す。
「しかし、あの男・・・・・・レイスト=ライザの剣は「ジェフティ」・・・・・・「イスデス」ならば頷けるが・・・。」
青年が視線を落とす。
窓の外には人が集まり、誰かを取り囲んでいた。一人の少年と、「隻眼の赤」レイスト=ライザを。
それを見て、青年は呟く。
「あの少年の剣・・・・・・」
青年は少年の左腰に挿された剣を見る。
「あの剣、まさか「イスデス」だというのか?まさかな。」
そうは言ったが、青年は眉を潜める。
「だとしても・・・アレが無ければ剣を使いこなす事は出来ない。不可能だ。」
『しかし、バジリスクは殺られた。事実だ。』
不意に、彼の後ろ―――ベッドの方向から声がした。
重量感のある声。その主は「ステク」。
セトと契約された破壊の剣。
「奴が・・・・・・「黒の双剣」の後継者・・・だと?」
『いかにも。』
「そうか。」
そう呟いた青年の目的は一つだった。
力を手に入れること。
全てを破壊するために。
 8
「や。」
昨日の昼に会った黒髪の旅人だった。
「バジリスクを倒したんだって?」
そう言って彼はぼくの隣に座った。そして夜空を見上げる。
静かに頷くと、彼は続けた。
「嘘つきの冒険者だと聞いてたが、バジリスクを倒したんだ。胸張って宿に泊まればよかったんじゃないか?」
ぼくの顔を覗き込みながらそう訊いてきた。
「ぼくは・・・彼女を護れませんでした・・・。」
黒髪の青年は呟いた。
「全てを護れると思わない方がいい。」
でも、ぼくは
「ぼくは・・・それでも―――」
「全てを護りたい。か?」
驚き、青年の顔を見る。その鋭い眼光は夜空を睨んでいた。
「昔、そう言って死んでいった人間が居た。」
彼はぼくの方に向き直って言った。
「お前の力がどれほどかは知らない。だけどな、うぬぼれるなよ。・・・死ぬぞ。」
諭してるようにも、叱っているようにも思える言葉だった。
しばらく無言でぼくを見つめていた旅人は立ち上がる。
「さて。俺は今夜中に出発だから宿に帰るかな。明日の昼までに届ける物があるんでね。」
笑いながら青年は言った。さっきとは打って変わって軽い感じだった。
「あ。はい。それでは。」
「それじゃ。風邪ひくなよ。」
そう言うと去っていった。
「全てが護れるはずが無い。全てが救われるはず無い。俺がそうだったようにな。」
青年の呟きはぼくには聞こえなかった。
ぼくは星空を見た。
しばらくみつめて眠りにつくと、
寒かった。



11月15日(火)00:49 | コメント(0) | 小説 | 管理

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