| 龍とボクと。 第二章 3、4 |
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| 3 ぼくたち一行は現在の「アイボリーハイランド王国」から一番近い「紫焔協和国」に入る事にした。理由は簡単だ。この両国間には国境沿いに検問が無いので簡単に入国できるので、ということだ。 ぼくが旅立って立ち寄った国だ。国土はそれほど広くなく、ぼくが騙した街は首都の「紫焔」のみ。たしかこの国には「赤烽火の木」という特産物がある。この木は「朝露妖樹(あさつゆようじゅ)」科という、寒冷な気候で育つ、特別な品種の木の一つで、この国の輸出額のおよそ半分を占めているのだ。 「で、たしか、「赤烽火の木」を栽培している地域に近年魔物が出てるらしい・・・・・・。」 「ほぇ~そうだったんですかぁ・・・お隣の国でしたが全然知りませんでしたぁ。」 とリアが関心する。なんか、わざとらしいんですけど。 しばらく歩くと、国境に差し掛かった。国境には建看板があるだけだった。これだけ簡単な国境はそうは無い。密入国、進軍など、不安要素を抱えている国家間ではありえないほど簡単な国境越えだ。 それにしても・・・人気が無いな。たしか、この時期になると露天が道を埋め尽くしてるはずなのに・・・・・・。 「一番近い、「赤石の里」に宿をとるぞ。もう少し東に行ったところだ。」 レイストさんがそう言ったので、十字路を右に行く。なんだか、会話が無い・・・。と、思ったとき、レイストさんが口を開いた。 「ところでフラント、この娘はお前の子供か?」 ヒューリィを撫でながらさらりと言う。・・・・・・冗談だよな。この人。 ぼくが冷たい視線をレイストさんに送ると、それに気づいて言う。 「冗談だぞ?」 本当かよ・・・と微妙に疑問を抱きながらも黙る。 と、ヒューリィが珍しく発言する。 「ぅ、レイスト・・・これ、これ。」 その言葉にレイストさんがヒューリィに目線を合わせる。 と、そのとき、隣を騎馬竜(ラィンディング・ドレイク)とは違い、獰猛な、噛切り竜(ネイプ・ドレイク)乗った旅人が通り過ぎて、少し前で止まった。 ちなみに竜(ドレイク)は龍(ドラゴン)とは違い、竜は翼を持たない換わりに、脚部に強靱な筋力を持ち合わせている。主に熱帯地方に生息し、龍のようにいろいろな場所に住んでいるわけではない。(逆に、龍は地底や、深海、山頂など、いろいろな場所に住んでいる。) 「よぉ、あんたらぁ、「赤石の里」はこっちでいいのかぁ?」 薄い青の瞳をしている男で、髪は黒色だった。 「えぇ。そうですよ。」 ぼくは素直に答えると、黒髪の旅人は笑って言った。 「なるほど、ありがとな。どうやらあんたらも行くみたいだから、また向こうで会おうぜ。」 そして、手綱を引くと、ネイプ・ドレイクを走らせる。その笑顔は裏表の無いような満面の笑みだった。その笑顔とは不釣合いな大剣を背負っていたのが残念だ。 ―――なんだか、いい人って感じの人だな。 なんてことを思いながらしばらく歩くと、すぐに「赤石の里」が見えてきた。 それを見てほっとした。 4 「ぼくは勇者じゃありません。」 そう言うと、一同驚きの声を上げる。 「確かだ。この者は勇者ではない。」 レイストさんの言葉に、困惑の表情を覗かせながら村長が訊きかえす。 「では、我々は騙されていた―――ということでよろしいか?」 「えぇ。ですから、ぼくは宿に泊まる資格はありません。」 ぼくは冷静に静かに伝える。 「・・・・・・それでも・・・。それでも我々はあなたを歓迎いたしますぞ。フラント殿。」 そう言って村長は笑顔で言った。 その他の村人たちも、みんな、笑顔だ。 「よくぞ戻って来てくださった。」 でも、ぼくは。決めたんだ。 「いえ、ぼくは外で寝ます。そう・・・させてください。 この程度では、償いにもならないと思いますが・・・」 そう言って、ぼくは宿には入らず、外で過ごすことにした。 この国の気候は一年を通して寒く、夏になっても肌寒い。 他国では夏の盛りでも、この国の夜は冷え込む。 野宿用の寝袋で毛布をかけながら、強固な石造りの塀によりかかる。 真っ二つに割られた半月が、光を落とす。 「雪でも降りそうだな。」 一人呟くと、民家の植え込みでカサリと音がした。 ・・・村の中に魔物がでるはず無い・・・よな? ぼくは一応、物取りの可能性も考え、剣を取る。物取りなら殺す必要も無い。ナイフよりもリーチの長いこちらの方がいいだろう。 茂みから人影が出てきた。 明るいのですぐにわかったが、女の子のようだ。それを確認すると、剣を置く。 「こんばんは。あの~、お話聞かせて貰えませんか?」 10歳くらいの少女はマーシィと名乗った。 薄い黄色の髪をしており、瞳は抜けるように蒼い。 寝巻き姿にストールを羽織っている。 しばらく旅の話をすると、今度はマーシィの話を聞いた。 「私は、病気で、あんまり外に出られないから・・・。こうしてときどき抜け出してるんです。」 そう言って寂しそうに笑うと、急に思い出したかのように、立ち上がる。 「あ、あの。冒険者さん、ついてきてくれませんか?」 「あぁ、いいけど?」 そこで気づいた。彼女はずいぶん寒そうな服装をしていた。 ・・・なんで気づかなかったんだろう。 防寒マントを着せてやると、ニコリと微笑んだ。 村から出て、しばらく森を歩くと小さくポッカリと穴が開いたように開けた場所に出た。 真っ白な花が一面に咲き誇る、小さな花畑だった。 「ここ、私のお気に入りの場所なんです。」 そう言うと、マーシィはその場に座り込む。 「この花、「赤烽火の木」が周りに無いと咲かない花なんです。」 そう言って、花を一本摘み取る。 「お話のお礼です。どうぞ。」 「あぁ。ありがとう。」 花を受け取って思う。この子はいつも一人だったのかな・・・? しばらく話をすると、だいぶ寒くなってきて、帰ることにした。 このとき気づけばよかったんだ。周りに生えているのが「赤烽火の木」だと。 そして、彼女に注意すればよかったんだ。 次の日、明日も会いたいというマーシィの言葉にぼくは花畑に向かった。 そこで後悔した。
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10月7日(金)01:09 | コメント(0) | 小説 | 管理
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