| 龍とボクと。 序章 1、2 |
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| 龍とボクと。
ぼくは嘘つきだった。今でもそうなのかも―――
序章 とんでもない。うそ。 1 「ふむ、それでは勇者殿、たのみますぞ!」 言葉が右耳から入って左耳に抜けていく。 正直あせった。 ツーっと汗が垂れる。これまでこんな事は無かった。無かったんだ。 龍を殺せなんて・・・・・・無理だ。そうだろ? ぼくは足早にその場を逃げる。 なんたってぼくは「勇者」なんかではなかったからだ。はったりだ。 ぼくの冒険者レベルは12。はっきり言って雑魚中の雑魚だ。 本当の勇者は100以上無いといけない。つまりぼくは一桁鯖を読んでいることになる。 「勇者様に幸運を!敬礼!」 ぼくが廊下を通ると兵士達が敬礼をしてくれる。 ・・・・・・気持ちいい。 このまま行けば詐欺師だって余裕で成れるんではないだろうか? いや、今でもすでに詐欺師か。 「おぉ!勇者様!」 「きゃぁ!勇者様!」 ダメだ・・・・・・ぼくはここから抜け出せない。 つくづく思ってぼくはタダで宿に泊まり、明日からの事を思う。 明日、明後日はキャンプを張って、次の街へ行く。 もちろん、龍なんて倒さない。 ぼくの親父は「龍殺し」なんて結滞な名前を持っていたけど、本当に倒した事があるのか謎だ。 ぼくと同じで嘘つきだったのかもしれないし。 そんなことを考えていると瞼が落ちてくる。 さっさと寝て明日からの逃走劇を演じる準備をしよう。 おやすみ。 2 「勇者様の案内役を勤めさせていただきます。リアです。よろしくお願いします。」 そう言った青い髪の毛の少女はそんな挨拶をして笑顔を作る。 短髪で黒い瞳をしていた。 そしてメイド服。 これで大抵想像はつくでしょ? ぼくははぁ、と適当な相槌を打っておく。 ということは、だ。 今回の龍退治は絶対に実行しなければこの少女が報告をしてしまい、ぼくが龍を殺せない事が判ってしまうわけであって。 それはつまり、ぼくが勇者ではないことがわかってしまうわけであって。 ・・・・・・困った。 消される・・・・・・たぶん。 「あぁ・・・・・・それは嬉しいんだけど・・・・・・なるべくなら一人で行きたいなぁ・・・なんて。」 そう言ったぼくにリアはまぁ!と声をあげる。 「さすが勇者様!私を気遣ってくれるのですね!いいえ、そんなもったいない。私のような者にお気遣いしていただかなくともよろしいのです!感激のあまり涙が出てしまいます。」 そう言って本当に涙を流す。 ・・・・・・しくじったか・・・・・・まずいぞ。 「感激です!惚れてしまいそうです!もうどこまでも着いていきますわ!それこそ、地獄までも!」 いやなこと言うなよ!と言いたかった。 が、手を取られマジな目でみられてしまっては、ぼくのような一般少年に断れるはずも無い。 クールな物語の主人公でもなければ無理だ。 「ふっ、それでもお嬢さんを連れてくわけにはいけねぇゼ。こいつは漢の戦いなんだ。」 って感じで。 ・・・・・・言ってみたい。 そんなわけで本当は迷惑極まりないのだが、リアを連れて龍の住むという「朱の洞窟」に行かなければならなくなった。 もう、死は確実だ。 地獄行き汽車の切符を買ってしまった気分だ。 最悪だ。
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8月12日(金)18:59 | コメント(0) | 小説 | 管理
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