| 龍とボクと。 第一章 4、5 |
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| 4 なんてこった。 「あらまぁ、コボルドですね。」 「逃げるぞっ!」 冒険者レベル12のぼくにコボルドが倒せるはずが無い。 殺される・・・確実に。 コボルドを倒せるのはレベル30以上だ。 「倒してください、勇者様。」 「だから、ぼくは勇者じゃ―――」 ぼくがそう反発しようとした。が、僕の言葉を遮ってリアが言った。 「そんなんじゃ、一生逃げっぱなしですっ!立ち向かってください、現実に!」 「いいんだよ、ぼくは負け犬だっ!」 そう言った瞬間、右頬が熱くなる。 ピシャッっと音を立てて、ぼくははたかれた。 「フラント・ビシャスは世界一の冒険者になるんじゃなかったの!?」 「―――え?」 その言葉に、ぼくは混乱した。 昔。ずっと昔。 『世界一の冒険者になって、絶対、絶対、助けに来るよっ!』 少女に言った。屋敷で窓から外を見るだけの、少女に。 『どこまでも一緒に旅して、どこまでも、どこまでも遠い所に行って、幸せに暮そう!』 約束した。約束した。そうだった。 『嘘は、後からでも・・・・・・本当に出来るんだよ。だから、きっと、約束守ってね。』 泣きながら言った。少女が。言った。言ったんだよ。 青い髪の毛の少女が。 コボルドは剣をふりかざす。 それをリアは避けようとしない。 くそっ―――間に合うか!? 走り出していた。腰から剣を引き抜く。 ―――え?抜けた? 振り下ろされた剣を防ぐ。 不思議と重みは感じない。コボルドの剣を弾き返す。 体制が崩れた所で、突きを繰り出す。 「・・・・・・倒した?」 が、コボルドは立ち上がった。 コボルドは剣を振りかぶる。 「リアっ!」 抱き寄せて青い髪の少女をかばう。 せめて、約束は守れなくても、せめて、彼女だけは。 しかし、いつまでたっても痛みが走る事は無かった。 「・・・・・・?」 恐る恐る後ろを振り向くと、時間が止まっているかのようだった。 その場にはコボルドと、ヒューリィが立っていた。 コボルドの剣は中ほどからポッキリと折れており、剣を振った動作のまま固まっている。 少女は横に振り払った手を下げ、ぽつりと呟いた。 「・・・大丈夫、強くなれる。」 俺に言ったのだろう。 その後、俺たちには聞き取れない、魔物言葉で少女はコボルドに言った。 『我が主に剣を向けるとは良い度胸なり、生きて帰れないと思え・・・!』 『グッ・・・朱の龍姫・・・何故ここにっ!?』 コボルドの表情がどんなものなのか知らないが、明らかにコボルドは恐怖を浮かばせる。 龍の少女の体が揺らめく。 と、思った。瞬間、コボルドが立った状態で吐血する。 真っ赤な血が口から猛烈な勢いで鮮血が吐き出され、朱い少女は真っ赤に染まる。 事が終ったと振り向いた少女の瞳は紅に染まっていた。 ぼくは、人に近い容姿をしている少女を確実に人から外れた者であることを理解してしまった。 ただ、ぼくは少女を見て、 恐怖した。 5 「あの・・・・・・フラント様?」 唐突なリアの言葉に我に返る。 「ん?」 「離していただきたいのですが。」 顔を真っ赤にしたリアが見ていた。なるほど、よく見ると可愛い。 「・・・・・・あぁ。」 そう言ってリアを離してやる。 リアは服の端っこを引っ張ったりはらったりして、向き直る。 が、ぼくと目が合うと、顔を赤くして眼を反らしてしまう。視線があちこちをただよう。 なんとなく・・・話し掛けにくい。 「・・・剣。剣。」 ナイスなタイミングでフューリィが話し掛けてくれた。 「あ、あぁ、ありがと。」 ぼくは剣を受け取ると、鞘に収める。 冥界の神「アヌヴィス」と契約された大地の剣、封剣「イスデス」。 父さんから受け継いだ物だが、これまで引き抜けなかった。 錆びてるのかと思ってたけど・・・錆は愚か、刃こぼれさえない。 刀身には金色に縁取りされた溝で作られたデザインが黒い刀身ながらも豪華に見える。さらに、刀身の根元・・・鍔と刀身の間には紅い玉石がはめ込まれていた。 この剣と父さんの名声があったからこそぼくの嘘に誰も気づかなかったんだ。 父さんには悪いけど、ぼくを家に一人で置いて冒険の日々をすごしていたのだからそれくらいしてもらわないと。仮にも父親なんだし。 それにしても、何なんだろうな・・・・・・まさか、誰かのためじゃないと引き抜けない・・・・・・とかじゃないよな。そんなベタベタな物だったら許さないからな・・・。 そんな恥ずかしい物使えるかっ・・・・・・ 「あぁ・・・こんなに汚してしまって・・・」 リアがフューリィの髪や顔をタオルで拭いてやる。 「むぅ・・・櫛が通らないですねぇ・・・」 そう言うと、リアが髪を洗おうと言い出したので、ぼくは今日の焚き火の薪を取りに行く。 が、それはフェイントだ。あのときの少女がリアなら、巻き込むわけにはいかない。 あぁ、最初からそうだったとも。本当は巻き込みたくないだけだよ。 認めれば良いんだろ? 忍び足で荷物を取りに行く。 「・・・・・・今のうちに・・・」 っと、ちょろい。ちょろい。 何度この方法で逃げ出した事やら―――。 「フラント様ぁ~、一緒に入りませんかぁ~?いい湯ですわぁ~。」 って、タイミングが悪い。悪すぎるよ。 というか、いい湯って何? 「あちらに温泉があるのですわ♪」 というか、その・・・バスタオル一枚で歩き回らないで欲しい。すごく。 「入らない・・・一体何考えてるんだ・・・あんたは。」 「それはもちろん―――」 そう言って顔を赤面させキャーだとか、イヤァーとか叫んでいる。 誰かこの過去の大切な人を元の純情な少女に戻してくれ・・・ 頼む・・・戻して・・・・・・ 「というわけなので、火山の影響で温泉が沸いているのですわ。」 どういうわけだ・・・・・・? 「入らない。」 全力で否定した。
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8月16日(火)00:47 | コメント(0) | 小説 | 管理
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